1日、作家の佐々涼子さんが悪性脳腫瘍のため56歳でお亡くなりになったと
ネットニュースが報じました。
そしてその後、彼女が綴ってきた言葉達に再度目を通しながら
彼女が見つめてきた多くの「死」と「生」に、更に彼女の死に想いを寄せながら
眠りにつきました。
「死」と「生」に正面から向き合うノンフィクション作家として多くの本を執筆されましたが、中でも私は、
「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」:異国で亡くなった人の遺体や遺骨を遺族のもとに届ける仕事に密着した作品には大きな衝撃をうけました。こんな心身共に過酷な環境の中でも、真摯に「死」に向き合っている人がいて、その人達に日本人の「死」が支えられているのだと、これまで知り得なかった世界を見せていただきました。
そして「エンド・オブ・ライフ」:訪問看護師の目で、そして彼の「死」を通して終末期医療を支える現場を記した本にも、同じ看護師として大きな共感を得ました。
「夜明けを待つ」:初のエッセイ集ではあとがきの中でご自身の病気にも触れ、これまでの経験に支えられた死生観を記されていました。
どの作品も正面から「死」と「生」を見つめ、そこにある魂の声に誠実に向き合ってこられた佐々さんの人柄や想いが溢れていて、それが厳しく苦しい現実の中でもあたたかさを感じられる、生きる強さを感じられる要因になっているのだと思います。
佐々さんは本の中で
「魂の痛みには魂の癒やしが必要なのだ」
と述べられています。人の「生」と「死」は、まさに魂と魂の触れ合いであり、ぶつかり合いでもあります。そこに嘘も飾りも必要ありません。真摯に「魂」に向き合う、それが人を、人の深い悲しみや苦しみを癒やせるたった一つのものだと思うのです。
佐々さんの「死」に改めて、相談者の人と「魂」で向き合う大切さを再確認した夜でした。
佐々さんのご冥福と、これまで佐々さんが見送ってきた多くの人たちと天国で再会できることを祈っています。