2人に1人ががんに、5人に1人が認知症といわれる現代において
家族に介護者がいるのも当たり前になりつつありますが、なかなかそこに
あたたかい眼差しが向けられることはありません。
要介護者の裏で介護や家事、精神的な負担が増加しても、仕事や自分の時間が
犠牲になっても、そこにねぎらいや癒やしが添えられることはありません。
家族間でもなかなか協力が得られず、孤独の中1人で背負うことが多いのも現代の介護の現状といえます。
変わっていく要介護者の姿に悲しみや苦しみを感じながら、要介護者自身の悲しみや感情も
背負うことになり、そのはけ口もなかなかみつからず孤軍奮闘を続けるうちに、自分の心も疲弊していきます。
「弱音を吐いてはいけない」「自分が看るしかない」という責任感もより深い苦しみを生み出します。
介護者が第2の患者といわれる所以です。
医療の発達により、介護も長期戦になりました。
まだまだ充実とは言えないまでも社会資源も増えてきました。
役所などにも相談窓口ができ、以前とは違って受けれるサービスも増えてきています。
長期戦の大変な重責を1人で背負うには負担が大きすぎます。人の手を借りて、社会資源を利用して
自分の人生も大切にする、介護に人生が占領されてしまうのは要介護者にとっても辛いものです。
長期戦の介護は、「まずは自分の人生を大切にする」
その軸を持たないと介護自体が苦しみとなり自分の人生に、介護に意味が見いだせなくなる空虚感に
苛まれてしまいます。
その軸は、介護と自分を支える基軸となってくれます。
普段以上に自分に愛情をかけ、いたわり癒やしの時間をとりながら、自分の人生を優先してはじめて
ゆったりと要介護者と向き合えるようになります。その優しい時間がお互いに大切なものを教えてくれる
幸せの時間になるのではないかと思います。