残暑というにはまだ厳しすぎる炎天が続いています。
それでも早朝や深夜は少し秋口を感じるようになりました。
年々秋が短くなっているような気がしますが、それでもひとときの秋の訪れは
酷暑を乗り切った、そして向かい来る厳冬に備える癒やしの季節です。
私はここ3年、散歩が日課となっています。
前回お話したように犬を飼ったことが大きな理由ですが、続けてみて
「お散歩は心のリセットの時間になる」
と感じています。
看護師として働いていた時、内科や精神科のDrがよく
「お散歩してください」と患者さんに話しているのを聞いて漠然と心身にお散歩はいいのだ、と
思っていましたが、これまではその時間が勿体ないと思っていました。
また、お散歩にいく気持ちの余裕がなかったということもあります。
しかし、実際にはじめてみると、お散歩は素晴らしい!と思います。
犬のお散歩くらいですから、身体への効果は希薄だとしても、心への効果は絶大だと思います。
早朝の軽やかな空気感やこの後の酷暑を案じさせるこもった風の臭い、
厚い雲に隠れた見えざる力強い太陽の光。
幾日も雨を心待ちにしている道ばたの雑草たち、一時の安らぎを得て鳴く小鳥たち。
そんなその日その日の空気や景色に心を寄せながら歩く時間は、日々の雑踏から心を離し
リセットしてくれる、心を空にしてくれる貴重な時間です。
そして日々の介護による心の疲れや、深い悲しみや苦しみに触れた心を癒やしてくれる大切な時間でもあります。
大変な毎日の中でも、それらとひととき離れることができるということは、
自分を冷静に保つ時間が得られるということは、
「死別・がん・認知症・介護」など解決のない苦難と歩く長い道のりを前に心を楽に保つことができる
糧になります。
不安や恐怖、悩みなどが大きければ大きいほど、人は内にこもってしまいがちですが、
そこをあえて「外に出る」という選択をすることで意外に気が楽になることもあります。
誰もいない早朝であれば、気兼ねすることなくお散歩に、自分の感情に集中できます。
「死別・がん・認知症・介護」の苦難と歩んでいるからこそ、
お散歩に出掛けていただけたら、と思います。