認知症介護 ~あいまいな喪失と生きる~

介護の中でも認知症の介護は心身共にストレスの大きい介護と言われています。大切な人が「ここにいるのに、ここにいない」という曖昧さの中でその人と向き合っていかなければならないからです。またそれまで育んできたその人との関係性や繋がりも壊れ、孤独の中で過酷な介護が求められます。そんな状況の中で、解決策のない現状の中で、うまくやっていくためにはこの曖昧さを受け入れるしかないと思います。「ここにいるけれど、もう以前の人ではないこの人は、今も愛する人であり、世話をしていくことに変わりはない」という、2つの見方が出来るようになることが重要です。いることといないことが共存するその世界を認めること、あいまいさを受け入れること、柔軟な考え方が出来るようになれば、何が普通なのかにとらわれることなく気を楽にして向き合うことが出来るようになります。