死別・がん・認知症・介護などで様々な喪失を体験し、
その大きさと深さの中で悲しみに暮れながら
朝を迎えている人は本当に多いと思います。
よく
「どうしたらこの悲しみから抜け出すことができますか」
と聞かれます。
私としても、相談者さんが「えぃ!」と抜け出すことができる方法があるならば
その方法を心から知りたいと思いますが、
今のところ、そんな方法はありません。
大切な人との別れ、自分の人生との別れ、それらとの和解は
恐ろしく時間がかかるもので、
気がつけば今日は少し楽に息ができる、
気がつけば今日は昨日より違うことを考えられている
そんなことの積み重ねから生まれます。
その中で、大切なことの1つが
「自己受容」です。
死や病気という苦難に遭うと、これまでの自分が壊されてしまいます。
プライドも失い、これまで培った自分という鎧も剥がされ
自分の長所と短所が入れ替わる、
「自分にはこんな面があったのだ」「こんな感情があったのだ」
と、これまで馴染んできた自分ではない、他の自分を知ることになります。
それは、いいこともあれば、悪い事もあります。
それでも、それらを
「これもたいせつな自分の一部なのだ」と受け入れる:自己受容することができれば
それが、自己成長につながります。
どんな自分も受け入れる、長所だけでなく短所も。
いい面だけでなく悪い面も。
そうする事で自分への愛が生まれます。そしてその愛は自分の変容を助け、
変化していく現実に臨機応変に対応できる柔軟性を与えてくれます。
そして、他人への理解も深まります。
自分の欠点を受容することができれば、他人の欠点も理解できるようになり
そこに信頼が生まれます。
「今更?何十年もこうやって生きてきたのに?」
と言われる人もいらっしゃいますが
「今更、だからです」
とお答えしています。
そこに気づき、自分を変容させ、他人と信頼を生む
その愛が、今、必要なのです。
それが、変えられない現実の中で、残りの人生を生きる道しるべになる。
私はそう思っています。